法隆寺・三町地区の太鼓台

２００５／４／１７＆２４（日）　矢田丘陵（松尾山〜子供の森）彷徨・・・

　法隆寺の背後の松尾山〜矢田山は県立自然公園になっています。
標高３５０ｍ前後の丘陵は、里山の風景が濃く、尾根には趣のある快適なルートが続き、
休日ともなればハイカーやマウンテンバイクで賑わいます。
この季節、矢田丘陵はところどころ淡いピンクの花を持つ樹木で彩られますが、
その花の正体を探るため、２週連続で矢田丘陵を彷徨してきました。

　松尾寺の背後の急阪を登り、ＮＨＫの送信施設を過ぎて、しばらく行くと、
ハッチョウトンボが棲息しているという松尾湿原に続く道が分かれます。
ただ、標識板も案内図もないので（昔はあったような？）、
よほど注意して見ないと、かすかな踏み跡は見つからないでしょう。
笹の中を漕ぎながら、慎重に下っていくと、５分ほどで湿原に出ます。

初夏の季節になると、小さな湿原にはミズバショウも咲くとかで、
貴重な自然が荒らされないためには、誰にも知られない方がいいのかもしれません。
今回は湿原を越え、笹ヤブの中の道をさらに下っていきました。

ウグイスに励まされながら、かすかな踏み跡を辿っていくと、
何本かのヤマザクラと出会いました。
花は陽が燦々と降り注ぐところ、つまり森の上層部で咲いているため、
ところどころ散りばめられている花びらをたよりに仰ぎ見るだけでしたが、
淡いピンクの花びらと、まだまだ薄い新緑を通してみる五月の青空がとても美しく、
春から初夏への四季の移ろいを全身で感じとることができました。

　　見上げてみればサクラの花が・・・

　　奥深い谷間にもひっそりと咲く花・・・

　なんとかヤブこぎルートから脱出すると、山奥の田圃の中の快適な道に出合います。
東山、矢田山を越えれば子供の森から南生駒、むろの木方面、
矢田峠を下れば、弘法の池を経て、あじさいで有名な矢田寺、
縦走路を南下すれば、松尾寺方面に戻ります。
先週は子供の森〜東明寺〜矢田寺〜国見台（展望台）ルートを取りましたが、
今週は快適な縦走路をそのまま南下し、、花を愛でながら、帰路につきました。

　　ところどころにヤマサクラが・・・

　　矢田寺からの登り道にはツツジの花が・・・

　　国見台から三輪山を望む・・・

　花が散り新緑が濃くなれば、ヤマザクラやヤマツツジの樹々は周囲に溶け込んで、
再びその存在を誇示するのは来春まで待たないといけません。
今年も斑鳩の裏山の春が行きました・・・・。

　
２００４／４／２９（木）　ツツジの満開までもう少し・・・

ツツジ園から金剛山、岩湧山方面を望む

　連休の初日は高気圧におおわれ、絶好の行楽日和でした。
かねてから大和葛城山のツツジを見たかったので、水越峠に車を置いて登ってきました。
小一時間ほど急登を登りつめたら、そこはツツジとカヤに包まれた頂上。
四方の山を俯瞰したり、まだ蕾のツツジの花越しに青空を見たりしながらの命の洗濯です。

ツツジの満開まではまだ２週間ほどかかりそうかな？
でも自然探勝路ではカタクリの可憐な姿を見ることができました。
斑鳩に戻り、息子の通っている山の中の学園へ行けば、今がちょうどツツジの見頃でした。

　　山の中のキャンパス

２００３／３／２２（土）　あぁ甲子園　草の芽萌え立ち・・・

　　肌寒い中の開会式

　　斑鳩高校・初出場初勝利！

　地元の奈良県立斑鳩高校は、逆転の連続で秋の近畿大会でベスト４まで進出し、
そのご褒美として？、春の高校野球選手権大会に出場することになりました。
公立高校ながら、あと一歩で甲子園の切符を逃すこと数度、ついに夢が叶い、
開会式直後の第一試合に出場です。
地元からは早朝出発にもかかわらず、観光バス５０台の応援団が駆け付けました。
そして新潟・柏崎高校に競り勝ち、見事甲子園初勝利をあげることができました。

　　　あぁ甲子園　草の芽萌え立ち　駆けめぐる風は　青春の息吹か・・・

春の大会歌「今ありて」の歌詞のごとく、甲子園の芝生は日に日に青くなっていきます。　　　　　

２００２／１０／７（日）　コスモスライブ・法起寺

　　コスモス畑の向こうの法起寺

　　コスモスＬｉｖｅ’０２

　　聖徳太子も出現？？？

　　コスモス畑の中のライブコンサートに行ってきました。
法起寺の周りは一面のコスモス畑で、そこを切り開いてのライブ会場です。
コスモスが風にそよぐ中、歌声は高く青い空に吸い込まれていきました。
人生、こんな時間も必要ですね。

　　夕暮れの法起寺　

２００１／１２／１（土）　柿食えば・・・

　　　某歯科玄関に活けられた柿の枝

　今年も裏庭の柿の木に、艶やかな実がたくさんたくさんできました。
暇を見つけては、せっせせっせと取り入れて、段ボールで７箱分の収穫です。
高くて届かないところは、鳥たちの分に残してあげましょう。
うっとこの柿の実はシブなので、そのままでは食べられません。
焼酎と一緒に密封すれば、あ〜ら不思議、数日で甘くてやわらかい柿になります。
口の中で、行く秋を楽しめるのは、最高の贅沢かもしれませんね。

２００１／９／２２（土）　斑鳩神社宵宮

　　子供みこしが夢殿の前を練り歩く

　　　斑鳩神社にご参拝

斑鳩神社秋祭りに先んじて、子供宵宮の行事がありました。　
子供達がおみこしを担ぎ、斑鳩神社にお参りするのです。
法隆寺の土塀に沈む真っ赤な夕陽を見て、斑鳩神社に着く頃は、
宵宮の名の通り、あたりはすっかり真っ暗になっていました。
提灯に灯をともし、急な階段を上れば、昔からの森に包まれた神社があります。
鎮守の森の天神様は、毎年毎年、子供達の成長を見守ってくれてきたのでしょう。
宵宮が終われば、彼岸花を合図に、斑鳩の里は秋に向かいます。

２００１／５／２２（火）　今年も旅立ち・・・

　　初公開？の私の手・・・　　

今年もアゲハチョウを羽化させました。
毎年そうなんですが、大空に放つ瞬間は、少し寂しい感じもしますが、
我が家にとっては、なくてはならない風物詩となりました。
モンシロチョウの幼虫の方はハチに寄生されていたため、全滅。
自然界の厳しさというか、食物連鎖を今年も教えてくれました。

　　大食漢の５齢幼虫　ポケモンのキャタピー

　　さなぎのバルコニーで待ってて・・　

２００１／７／２８（金）　誰のために咲いたの　それはあなたのためよ・・

誰のために咲いたの　それはあなたのためよ・・・
夏の日射しをたくさんあびて？　こんなに咲いたの
・・・・・・そんなあなたの花になりたい
そんなあなたの花になりたい・・・

私が中学生の頃、ひまわり娘と言われていた「伊藤咲子」という歌手がいました。
たしかイルカに乗った少年の「城みちる」とラブラブやなかったんかいな？
欣ちゃん司会の「スター誕生」などで、アイドルがどんどん出た時代でしたな〜。
ソフィアローレン主役の映画に「ひまわり」というのもありまして、
一面のひまわり畑が印象的でした。　これまた懐かしい話です。
ゴッホも「ひまわり」を題材に、いっぱい絵を残しましたなぁ・・・・。

２００１／５／２６（金）　そろそろ夏が始まる・・・

いかるがの代掻小田（しろかきおだ）の

にごり水

ここにも塔の影ひたりたれ　　　　　吉野秀雄

「代掻小田」とは、水を導き入れ、田植えの準備をしている田圃のことです。
５月末の現在、法隆寺周辺では、まだ苗代の段階ではありますが、
そろそろ次の週末は、一家こぞっての農作業で忙しくなるのでしょう。

　　お〜っ！　タケノコ見ぃ〜つけた！

それと、知り合いの竹ヤブへ行き、十数本のタケノコもゲットしてきました。
はじめてのタケノコ採りですが、根っこの紫のイボイボのところで、
すぱぁ〜んと掘り起こすのは結構難しいもんですなぁ。　　(@_@)

２００１／４／２３（日）　ふるさとの野の花

　このページを作って一年あまり、ちょうど四季をひとめぐりしたことになります。　

　ウチの庭、あるいは近辺の野や畑には、今年も多くの花が咲きました。(^O^)
ということで、今回は、雑草達に思いを込めての、「春の野の花」特集です。

　　四つ葉のクローバーの「シロツメグサ」

　　おなじみの「ナズナ（ペンペングサ）」で〜す。

　　「オオイヌノフグリ」「カラスノエンドウ」「ハコベ」のトリオ。

　　こちらはカラスではなく、人間様の「エンドウ」。

　これらは、ガーデニングに使われる、華やかな外国産のものとは違い、
ふるさとの野をささやかに飾る、それでいて強く生きている、素朴な花ばかりです。
でも、自然界に息づく虫や、それらをエサとする鳥たちにとっては、
大切な食べ物や生活の場、すなわち天からの大きな恵みであります。
我々は、自分たちを取り巻く生態系について、もっともっと知らなければ・・と思います。

生態系と調和のとれた自然、作られたうわべだけの自然の違いは何でしょう？
そういった意味では、ゴルフ場などの緑は、厳密な意味では、不自然とも言えるでしょう。

　　春といえば「アブラナ（菜の花）」ですね。

　アブラナ（菜の花）の葉の裏をよ〜く観察してみましょう。
モンシロチョウの小さな卵、あるいは幼虫が発見できるかもしれません。　(*^_^*)
ポイントは、モンシロチョウのカップルが遊びに来て、羽を休ませていること、
葉っぱに、幼虫たちのかわいい食事のあとがあることでしょうか？　!(^^)!

　　食べられる花には「タンポポ」がありました。

　　ミツバチ（写真右）も好きな「レンゲ」で〜す。

　　スズランに似た「アシビ（馬酔木）」の花です。

　知名度のわりには、意外と見つからない花のひとつに「スミレ」があります。
　（これってウチの近辺が少ないだけ？　他ではよく見つかるのかな？）
ジョギングの途中、道ばたの斜面に、ひっそりと咲いているのを発見しました。

　　スミレの花咲く頃に、タカラヅカの合格発表が・・・・。

　　こちらもスミレの仲間かな？　　

　　今度はちょっとしたグループを発見しました。

　これらの花以外にも、「キンポウゲ」「ハルジョオン」「ヒメジョオン」「ハハコグサ」
「ハルノノゲシ」なども、今年も素朴な花をつけています。
花ではないけれど、「ヨモギ」「スズメノテッポウ」も、自己主張を始めました。

きらびやかな花壇もいいけれど、天気のいい日は春の野を観察してみませんか？

２０００／１２／１９（日）　初冬はムシ歯の原因？

昨日今日と、風が強く、じわーっと寒さがしみこみます。
斑鳩の里もすっかり初冬の風景に衣替え、観光客もまばらになってきました。

　　　法輪寺の生け垣には山茶花の白い花・・・

　　法隆寺裏山より、明日香・三輪遠望・・・

２０００／１２／１２（日）　夕焼け番長・胸焼け大腸（意味不明・・）

先週は、奈良春日・大仏マラソン５ｋｍの部に参加してきました。
私の中学高校時代、体育の時間に走らされたコースとよく似ており、
あの頃の自分は、のろまな亀で、バテバテイヤイヤで走ってたなぁ・・・・と、
２５年経って、なんとか走力がついた現在は、しみじみと懐かしく振り返れます。

トレーニングに、本日は、夕暮れの斑鳩の里を１０ｋｍほど走ってきました。

　　法隆寺と矢田丘陵のシルエット

自宅から１ｋｍほど走ると、夕陽と法隆寺が重なる、絶好の撮影ポイントがあり、
冬の晴天の日の夕焼け時は、カメラマンが三脚を立てて並びます。
私もその列に入れてもらい、何枚か撮影してきました（汗で寒かったですが・・）。

次いで、法起寺へ足を向け、さらに自転車道に沿って法輪寺に向かいます。
このあたりでは、すっかりランナーズハイ状態、ユーモラスな案山子にも遭遇しました。

　　法輪寺付近で出会った自転車乗り案山子　(^O^)

少しずつ暗くなっていく空にアセリながら、法隆寺の裏山を越えれば、
二上・葛城・金剛山のシルエットの上には、鋭く光る三日月が浮かんでいました。
健民グランドで折り返すと、藤ノ木古墳越しに奈良盆地の夜景が見渡せ、
はるかな街の明かりは、澄み切った初冬の怜悧な空気で、冴え渡っています。

身体はすっかり暖まり、脳内モルヒネ分泌しまくりんで、我が家にゴールインしました。
結構、楽しく走れ、おおいに満足できた、小休止ありの１時間弱の小さな旅でした。

ホノルルマラソンまで、あとちょうど２年。ラクしながら頑張んべ！　(^_^)v　

２０００／１０／２０（水）　実る田カメラ？

　　　刈り取り直後の西里の集落

　　東里集落から望む、真新しい百済観音堂

２０００／１０／１０（日）　村の鎮守の神様の・・・　今日は斑鳩神社の秋祭り

　柿くへば　鐘が鳴るなり　法隆寺　　　正岡子規

斑鳩の里が、稲穂の黄金色に染まる１０月半ば頃に、斑鳩神社の秋祭りがある。
今年は１０／９〜１０日で、天候にも恵まれ、村人達が和気あいあいと集うことができた。

　　黄金色の田の中を、おらが町の御輿が行く。

　　　その後を、提灯満載の子供御輿が続く。

「どーんどーん　どんどんどん、どーんどーん　どんどんどん・・・」
太鼓台の音が鳴り響くと、男達が三々五々集まってくる。
今日は、斑鳩神社（天満宮）の秋祭りである。
この２日間は、旧法隆寺村の人口が膨れ上がる。
村出身者が帰省して祭りに参加するのだ。
７歳未満の子は、着飾り、化粧して、着物姿の妖艶なお稚児さんとして参加する。
男の子は各町の太鼓台に乗り、女の子は神社の御輿の前を紅白の綱を持って練り歩く。

小学校に上がると、たくさんの提灯飾りのついた子供御輿を分担させられる。
ここでは子供達の成長をあたたかく見守る、昔ながらのよき風習が残っている・・・。

　　東大門前で気勢をあげる。後方は夢殿。

旧法隆寺村は、かつては５つの集落から成り立っていた。
お寺の両側の「西里」「東里」、松並木の入り口の「並松」、門前の「三町」「五町」である。
各集落は、それぞれの御輿（太鼓台）を持ち、集落の色のはちまきを締め、
「えっさーえっさー」の掛け声の元に、御輿をゆすって、力自慢を競い合う。

祭りがクライマックスを迎える頃、西大門には美しい夕陽が落ちようとしていた。
寂しいけれど、また来年。　斑鳩の里では、これから稲の刈り取りが本番だ。　

２０００／１０／９（土）　秋といえば八代亜紀？

　　６月→　　今年は豊穣の年か？

ゆく秋の　大和の国の　薬師寺の　塔の上なる　ひとひらの雲　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　佐々木信綱

今年は大きな台風の直撃もなく、大和路は黄金の秋を迎えました。
９月は異様に暑い日が続いていましたが、
１０月に入ってからは、朝夕はめっきり冷え込みます。
これからの季節、斑鳩の里では、快適なハイキング日和が続くのかもしれません。　

２０００／９／２６（日）　アケビという名で１８で？？？？

　 道中で見つけた秋の恵み・・・

昨夜は、うろこ雲に見え隠れしていた十六夜（いざよい）の月の鑑賞、
そして、本日は息子の運動会と、斑鳩の里では、もう秋が始まりを告げています。
次週の秋の紅葉＆初雪？鑑賞登山（バテずに登れるかなぁ？？）と、
来月の蒜山高原マラソン（５ｋｍの部、４０歳以上）とのトレーニングを兼ね、
淡い夕陽に包まれながら、ぶらりと矢田丘陵を徘徊してきました。
ゴルフ場横から、松尾山登山道に入り、松尾山頂を目指します。
松尾寺に参拝し、もうひと登りすれば、矢田山へ続く稜線上にある国見台にでます。
ここからは、大和国原が一望の下に見渡せ、本当に感動的！

北は山城の国の鷲峰山、そして若草山から三輪山まで大和青垣の山々が続き、
南は音羽山や高取山の向こうに、修験道のメッカの大峰連山、弥山が霞んでいます。
大和青垣の山々の向こうには、貝が平山や高見山などが頭をのぞかせ、
三輪山の奥に居を構えたといわれる雄略天皇の御歌を思い起こさせるような、
そんなパノラマに酔いしれながら、それぞれの山々への想い出にひたっていました。

そらみつ大和の国は　
おしなべて我こそ居れ　しきなべて我こそいませ
我にこそは告らめ　家をも名をも・・・　　雄略天皇

これは雄略天皇（倭王武）の求婚の歌であり、万葉開巻第１首である。
「大和の国はすみずみまで制圧して、この私が治めている。
国中をすっかり従えてこの私が治めている。　だから娘さん、そなたの家と名を教えておくれよ。」
という内容で、いかにも、豪放で多くの恋物語を従えた雄略天皇らしい歌である。

稜線沿いの道は、いくつかの池の脇を通りながら矢田山に向かいます。
弘法の池付近から、さらにまっすぐ行けば、子供の森や榁ノ木峠へと続く道、
左へ下れば、近畿大学奈良病院のある東山〜萩の台方面へと続く道、、
今回は、右へ折れ、植林地を通って、あじさい寺で知られる矢田寺まで下りました。
ここで、松尾山へ登り直すルートを、お寺の方に教えてもらい、
竹藪をトラバースした後、「六根清浄！」とつぶやきながら急坂を登りつめ、
沈みゆく夕陽にせかされるように、法隆寺まで下山してきました。

今日の家族へのお土産は、アケビ、クリ、ヤブコウジ、キノコなどの秋の恵みです。

　話は変わって、天の香具山の麓には、橿原市立昆虫館があります。
ここの見どころは放蝶温室、目の前を何匹ものオオゴマダラやコノハチョウなどが
優雅に飛んでいきますよ。　場合によっては背中などにとまってくれるかも・・・

http://www.sikasenbey.or.jp/kashihara/insect/index.html

２０００／６／１２（日）　登り立ち国見をすれば・・・

大和には群山（むらやま）あれど　とりよろふ天の香具山
登り立ち国見をすれば　国原は煙立ち立つ　海原はかまめ立ち立つ　
うまし国そ　あきつ島　大和の国は　　　　　　　舒明天皇

　５月初め→６月の法起寺

　　→　　レンゲ畑に水がはられた・・

ホタルが飛び交い始め、陽がなかなか沈まなくなる頃、田には次々と水がはられる。
法隆寺の裏手の矢田丘陵に登れば、奈良盆地が一望の下だ。
この時期は、初夏の日差しをあびて、水びたしの盆地全体がキラキラと光る。
それはあたかも、古来の大和の国は湖であったという伝承を思い起こさせるようだ。
いにしえの気分にひたり、遠くに霞む三輪山や大和三山を眺めながら下界に戻る。
真新しい畦道を歩きながら水面に目を向けると、
ウキクサの隙間には、カブトエビ、ミズスマシ、ゲンゴロウ、アメンボなどなど。
水を得た土の中から新しい生命が次々とはじけ、
大和地方独特の蒸し暑い夏が始まりを告げる・・・・

２０００／５／１（土）　こんな快適な日は久しぶり！

　　　法起寺三重塔（飛鳥時代）

　行く手の森の上に次ぎ次ぎに立ちあらわれてくる法輪寺や法起寺の小さな古塔を目にしながら、そんな小説を考え考え、そこいらの田圃の中を歩いていると、僕はなんともいえず心なごやかな、いわばパストラアルな気分にさえなりだしていた。・・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（大和路・信濃路　堀　辰雄より）

あれから一ヶ月、斑鳩の里では、桜に始まって、
菜の花、エンドウ、レンゲ、タンポポ、スイートピー、ナズナ、オオイヌノフグリ、フジ、
とにかく春の草花が咲き乱れておりました。
とくに今日は快晴で、法起寺まで散歩し、レンゲ畑で寝そべってまいりましたー。　
さぁー次はツツジかな？　
羊のいる「神野山」か、ツツジの大群落のある「大和葛城山」へ行こう！
家に帰っても、鯉のぼりを見つめながら、ボケーッと日向ぼっこしておりました。

　　高く泳ぐや鯉のぼり・・・　
　

２０００／４／３（土）　花曇り

　　　法輪寺三重塔（昭和に再建）

　中宮寺界隈の小さな村落を過ぎて北へ二丁ほど歩いていくと、広々とした田野がひらけはじめる。法隆寺の北裏に連なる丘陵を背にして、遙かに三笠山の麓にいたる、古の平城京をもふくめた大和平原の一端が展望される。大和国原といふ言葉の持つ豊かな感じは、この辺りまで来てはじめて実感されるやふに思ふ。田野に働く農夫の姿は、古の奈良の御代とさして変つてもゐないだらう。春は処々に菜の花が咲き乱れて、それが霞んだ三笠連山の麓までつヾいてゐるのが望見される。畦道に咲く紫色の菫、淡紅色のれんげ草なども美しい。・・・中略・・・　中宮寺から北へ三丁、前述の風光を眺めながら行くと、松の大樹の間に法輪寺のさヽやかな山門と三重塔がみえる。・・・・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（大和古寺風物誌　　亀井勝一郎より）

　法隆寺東大門を出たら、土塀と堀割に挟まれた小道を抜けて
松尾丘陵の方に向かって歩いてみよう。
天満池の畔をぶらぶら歩きながら土筆を摘み、
小さな丘をひとつ越えれば三井(みい)の集落である。

修学旅行や観光バスの喧噪はどこへやら、昔ながらの風情にひたることができる。
こじんまりした山門をくぐり、ほどよい広さの境内に入れば、
自然といにしえの世界に引き込まれていく。

昭和１９年に落雷で焼失した塔は、
３０年後に、飛鳥の心を引き継いだ宮大工達によって蘇った。
その心は小川三夫さんが率いる宮大工達の工房、「鵤工舎」に引き継がれている。

桃や梅畑の中を東へ行けば、岡本の集落のはずれに、
三塔の残りひとつ、法起寺の塔が見える。

菜の花畑の中を一回りして診療所に戻れば、
今年もツバメが軒下に戻ってきていた・・・・・。

２０００／３／２４（水）　前日の荒天から一転して晴れ

　いかるがの　さとびとこぞり　いにしへに　
　　　よみがえへるべき　はるはきむかふ　　会津八一

　お彼岸の中日あけの２２日から２４日まで、聖徳太子忌が営まれる。
一般に「法隆寺会式（えしき）」と呼ばれているこの行事は、
地元では「おえしき」という名で親しまれている。

境内には露店が立ち並び、
近隣の人々で賑わう中、子供たちが歓声をあげながら走り回る。
西院伽藍の東側に聖徳太子がおわす「聖霊院」があるが、
この日は五色の幔幕で化粧されていた。太子様と法隆寺を守り続けてきたもの、
それは時の権力ではなく、近隣在郷の村人ではなかったろうか。
そんな思いを胸に、古代の気分にひたりながら、冒頭の歌を反復してみる。

お会式が終わると桜が一斉に花開く・・・・・・・。
　

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